なぜ銅の剣までしか売らないんですか?

小説

 RPG世界の常識が現実世界の非常識というのはあるあるですよね。おすすめの読者層はドラクエ世代でもある40代、50代になります。ファンタジーといより社会風刺という側面が強いため、ある程度社会経験を積んだ人のほうが楽しめるのではと思います。

作品情報

書 名:なぜ銅の剣までしか売らないんですか?
発行日:2021年2月5日 第1刷発行
著 者:エフ
発行所:株式会社 実業之日本社
定 価:税別1,500円
ISBN:978-4-408-53774-0

作品概要

 本のタイトルにも表れていますが、内容はドラゴンクエストの世界観をモチーフにしたファンタジーとリアルをうまく融合させた小説になります。この作品はyoutuberとしても活躍されているエフさんのチャンネル『Fラン大学就職チャンネル』に元となる動画がアップされておりそこから知りました。

 実際はエフさんの別の作品である『金融義賊』の動画を見始めたらとても面白く、小説として発売されていることを知ってからは、どうしても紙で読みたくなり2冊同時に購入しました。『なぜ銅の剣までしか売らないんですか?』の動画は見たことはなかったのですが、エフさんの動画はどれも面白くきっと『なぜ銅の剣までしか売らないんですか?』も面白いだろうと思い購入してみました。

 本作はドラクエの世界では常識だけど現実的に考えたらおかしいよね?というところをうまく社会問題や世界の構造にリンクさせています。


 主人公のマルは弟のバツとともにわけあって実の両親ではなく田舎町の武器屋の店主に育てられます。マルは商人として、弟は剣術の才能があり弟はその才能ゆえ魔王討伐の使命のある勇者として旅立つこととなります。マルはバツに良質な武器を提供したいのですが、世界中の商売を取り仕切っている商人ギルドの制約により各町で販売できる商品は決まっており、旅を始めたばかりの勇者には弱い武器しか提供できません。そこで商人ギルドの本部に行き何とかすべくマルの冒険がはじまります。

 面白いのはマルは商人ギルドの本部を探すためいろいろな町を巡るのですが、そこで起きている事象がファンタジー世界の話でありながら、なぜか現実味のあることなんですよね。

 珍しい花が誰かのせいで意図的に高騰していたり、魔物を奴隷として働かせていたり、幻覚作用のある薬が販売されていたり………そしてマルは商人ギルドに辿り着くことが出来るのか?最後に解き明かされる世界の真実とは?

 もともと『Fラン大学就職チャンネル』が大好きだったこともあり本作も楽しめました。小説内ではファンタジー世界の専門用語を分かり易くするためだとは思いますが、かなりドラクエに似た表現をしている箇所が多数あり、ドラクエ経験者には分かりやすいのですが、ドラクエをしたことない人にはイメージがわきづらいのかもしれません。会社の後輩で20代のこがいるのですが、ゲーム好きにもかかわらず、ドラクエ、FFはしたことがないと聞いてびっくりしたものです。私の認識ではゲーム好き=ドラクエ、FF経験者というのが常識でしたから。

まとめ

 やはりドラクエ世代でもある40代、50代におすすめなのかなと思います。何故魔物がゴールドを落とすのか?何故勇者は民家を漁ってもいいのか?等をうまく合理的に説明し社会問題に繋げる手腕はさすがエフさんといったところです。

 もし若い人で読んだかたがおられたならぜひ感想を教えてもらえたら幸いです。

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