サイコロジー・オブ・マネー

金融関係

  yutuberの方が紹介されているのを見て面白そうだなと思い読んでみました。お金に対する基本的な考え方の指南書と言った感じです。お金に対する考え方は個人個人の経済状況等に影響され万能の考えはないと思いますが一つの参考として読んでみてはどうでしょうか?

 それでは私の解説も含め紹介させていただきます。

作品情報

書 名:The PYchology of Money サイコロジー・オブ・マネー
副 題:一生お金に困らない「富」のマインドセット
発行日:2021年12月7日 第1刷発行
著 者:モーガン・ハウセル
邦 訳:児島 修
発行所:ダイヤモンド社
定 価:税抜1,700円
ISBN :978-4-478-11413-1

作品解説

はじめに

 出だしは金融系の図書ではよくある話で、大金を稼ぐ天才が没落し、コツコツやる汎用な人間が大きな富を気づいたという事が語られます。著者はこのような逆転劇は金融の世界でしか起こりえずそれは何故か?と考えた場合人間の心理によるものだと考えます。

 著者は経済的成功を収めるには、物理学や数学などではなく、どう振る舞うかが重要な「ソフトスキル」の問題としています。
 そしてこの「ソフトスキル」のことをサイコロジー・オブ・マネー(お金の心理学)と呼びそれをまとめたものが本書になるのです。

ソフトスキル

社会人に必要な基本的な能力。主にコミニケーション能力や協調性。(須屋中の解釈)。

第1章 おかしな人は誰もいない

 

誰もが「0.00000001%」の世界で生きている

サイコロジー・オブ・マネーp.21

 著者は個人のお金に関する経験は、世界で起こる出来事の0.00000001%程度のことであり、そのわずかの経験が個人の考えが8割を占めるとしている。同じ知的レベルの者同士でも、生まれた時代や家庭環境によって金融に対する考えかたが変わってくるのは個人では0.00000001%の経験しか積めない為であるとしている。

 例をあげれば株価がどんどん上がる時代に生まれれば株式投資にかんして好意てきになるし、逆に株価が低迷する時代に生まれれ株式投資に対して否定的になるというものである。
 たとえ不景気に生まれても家が裕福な家庭に生まれれば、今が不景気だと感じることもないかもしれないし、貧しければ逆のこともありうる。

 老後の貯蓄や投資など現代の新しい金融システムはまだ20~50年程度の歴史しかなく、みんなが初心者の状態であり失敗するのは当たり前であると著者は第1章をまとめている。

第2章 運とリスク

何事も、見かけほど良くも悪くもない

サイコロジー・オブ・マネーp.40

 第2章は運とリスクについてビル・ゲイツを例にとって語られる。1968年当時アメリカのハイスクールでコンピューを導入している学校は極めて少なくビル・ゲイツの通うハイスクールにコンピューターが導入されていたのは幸運だった。ハイスクール時代にビル・ゲイツはコンピューターにのめりこみのちのマイクロソフトを創設することになる。ハイスクールにコンピューターがあった幸運な人をビル・ゲイツとして紹介し、逆に不幸な人としてケントという人物を紹介している。

 ケントはビル・ゲイツと同じハイスクール通う学生で、同じようにコンピューターにのめりこみビル・ゲイツと同じ天才であったがハイスクール卒業前に登山中に亡くなってしまうのである。ビル・ゲイツは後年ケントが生きていればマイクロソフトの創業者の一人になっていただろうと語っている。

 著者はハイスクールにコンピューターがある確率と、アメリカで登山中に亡くなる確率は同じ程度であるとし、「人生は個人の努力を超えた大きな力に左右される」としている。

 本書には資産形成をするにあたってコーネリアス・ヴァンダービルトやロックフェラーやウォーレン・バフェットのような過去の偉人を参考にしてはいけないと書かれている。このような極端な例は再現性がなく、運やリスクの影響が大きいためとし、見方をかえれば失敗者の例ともなりうるからである。

 成功者と失敗者の線引きは紙一重であり結果「何事も、見かけほど良くも悪くもない」なのである。

コーネリアス・ヴァンダービルト

アメリカの鉄道王。須屋中解釈

ジョン・D・ロックフェラー

アメリカの石油王。須屋中解釈

ウォーレン・バフェット

アメリカの投資の神様。須屋中解釈

第3章 決して満足できない人たち

 第3章では「足るを知る」ことの重要性について書かれている。過去の例を紹介し目標を設定せずに他人と比較し、資産を増やし続ければいつか痛い目にあうだろうと書かれている。

 当たり前の話だが、所詮他人と資産を比較しても上には上がいるものだし、十分な資産があるにもかかわらず、リスクを取って資産を増やす必要はない。

第4章 複利の魔法

 第4章では複利について書かれている。

ウォーレン・バフェットの資産の95%以上は65歳以降に得られたもの

サイコロジー・オブ・マネーP.73

 上記の事実が示すように、ウォーレン・バフェットの経済的成功の最大の要因は長期間にわたって投資し複利の恩恵を受けたためだが、人は複利の力を想像することを苦手としているため複利の力を甘く見てしまうことがある。

第5章 裕福になること、裕福であり続けること

本書では「裕福になること」と「裕福であり続けること」は別の能力であり、大事なのは「裕福になる」能力より、「裕福であり続ける」能力のほうが大事としている。
 そして「裕福であり続ける」ためには次の3点を挙げている。

  1. 大きなリターンを得ることよりも、経済的に破綻しないことを目指す
  2. あらゆる計画でもっとも重要なのは、計画通りに進まない可能性を踏まえて計画すること
  3. 未来に楽観的であれ

1は分かりやすく言えば投機をさけ複利を利用し堅実に行こうという事だし、2は計画するときはゆとりをもって計画しないとすぐに破綻してしまうということである。
 3は少し難しく言葉通り何でも楽観的に考えるわけではなく、例えばアメリカ経済のように過去から現在までGDPは増え続けてきたが、途中何度も金融危機に見舞われ暴落したときもあった。
 つまり長期的に成功すると信じていれば、途中で失敗することを受け入れなければならないということである。

第6章 テールイベントの絶大な力

「テールイベント」(数千~数百分の1の確率で起こる例外的な出来事)

サイコロジー・オブ・マネーp.109

 この章ではテールイベントの重要性=失敗する事の重要性について書かれている。様々な分野の成功者について語られることはメディアでよく見聞きするが、それを見聞きしていると成功者は常に正しい選択をしてきたものだと錯覚してしまう。しかし、実際は多くの失敗のうえでテールイベントがもたらす莫大なリーターンで成功している。そして本書では「成功者たちもあなたと同じくらい間違っている」としている。

第7章 自由

 この章ではお金がもたらす本当の価値は「自由」であるとしている。幸せの定義は人そぞれだが、共通の要素として、自由になること「好きな人と好きな時間にすきなことが出来る」がある。


 この考えは私も共感するところがあり、20代のときから感じていたことです。どんなに自分が好きなことでも嫌いな人とやればつまらないし、ドブ浚いでも好きな人とやれば楽しいと思います。

 そして、モノでは無く時間こそが人生を幸せに導くとしてこの章のまとめとしている。

第8章 高級車に乗る人のパラドックス

この章はすぐに終りますし、書いてあることもシンプルです。要は、

人は成功者と思われたくて高級車に乗るが、他人は所有者よりも高級車にしか興味がない。

というものです。豪邸でも同じことと書かれていますが、まぁそういうことです。

第9章 本当の富は見えない

 この章も短く前章と少し被る部分もあるのですが、高級車を所有し豪邸に住んでいても本当に資産があるかどうかはわからないというものです。いくら高級車や豪邸を所有していてもそれ以上に借金をしていれば資産があるとは言えません。しかし、他人が借金をしているかは見た目にはわかりませんし、預金残高を知ることもできません。
 ここでタイトルにも書かれている「本当の富は見えない」となるのです。

第10章 貯金の価値

 この章では貯金の大切さを書いてあります。まず、収入を増やすより支出を減らすことのほうがはるかに簡単であるとし、節約を重視し貯金をしましょうというもの。
 目的がない貯金こそが大事なことであるとし、貯金があれば仕事をしないとういう選択肢も取れ選択の幅が広がり自分の時間をコンロール出来ることに繋がるとしています。

第11章 合理的>数理的

 この章では物事は数理的に考えるだけではうまくいかず、合理的に考えることが重要だと言っています。一般的に合理的とは論理的な意味だと思うのですが、数理的の意味が調べてみてもいまいちわかりませんでした。

 そこで、この章を私なりに解釈すると、人は理屈だけでは続けられないから感情も大事だよね!いうことだと思います。例えば、株価が上がりそうな知らない外国株より自分が応援したい起業の株のほうが暴落時でも売らずに所有していやすい、ということを言いたいんだと思います。

第12章 サプライズ!

 この章に書かれていることは、投資の勉強をしている人なら聞き飽きた言葉かもしれませんが、「過去は未来を保証するものではない」ということです。

 世界の経済に大きく影響を与えるのは極少数の出来事であり、その出来事は紙一重の差で起こりえなかった可能性があります。例えば米国同時多発テロの失敗した場合やビル・ゲイツが病死した場合今とはことなる経済状況になっていた可能性があります。以上のようなことから未来は変わりやすく予測することはこんなんであるとしています。

 過去から学べることは高騰や下落の最大値ではなく、未来は常に人の予想を上回るということです。例にもありますが福島の原発は良い例と言えるでしょう。東京電力は過去の最大の津波の規模から予測し福島原発を建設したはずですが、実際の津波は予想を上回るものでした。

第13章 誤りの余地

 前章で未来を予測するのは不可能であるとしている事へのアンサーになります。未来を予測することが不可能であれば備えはどうするのか?の答えは「目的の無い貯蓄」であり「目的の無い貯蓄」であるからこそ不測の事態に対応できるとしています。

第14章 あなたは変わる

当たり前のうような話だが、過去現在未来では同じ人でも考え方は変わるというものです。誰しもあるとは思いますが、小学生、中学生、高校生、そして社会人と目標や夢は変わりつづけけきたと思います。

 まぁ小学生で本当にプロ野球選手に憧れ、実際に目指している小学生も少ないのかもしれませんが、中学生で地方公務員を本気で目指している子ならいると思います。その中学生にどうせ高校生や大学生になったら進路希望も変わるよ、と言ってもなかなか信じてもらえないでしょう。

 あまりうまい例え話ではなかったかもしれませんが、社会に出て年数を重ねている人ほど自分の考えが年を重ねる毎に、あるいは時代が変わる毎に変わるのに共感できるのではないでしょうか。

 そして著者が言いたいことは、過去の自分の選択に囚われすぎるのはよくない、ということです。学生時時代に専門にしていたからといっていつもでもその職種にこだわらず、いろいろな職種にめを向けてみたらいいのでは?と言っています。

第15章 この世に無料のものなどない

何か得るためには、その代償が何かを見極め、それを支払うことが必要なのである。

サイコロジー・オブ・マネーp.239

 この章でいいたいことは、上記がすべてなのですが私の解釈では、投資でリターンを得るためには無償ではなく、投資資金とは別にボラリティ(価格変動)という対価を払う必要がある、とうことだと思いました。

第16章 市場のゲーム

 この章で書かれていることは、他人の投資方法と自分の投資方法を比較しないということです。人によって受け入れられるリスクも違うし投資資金や、投資方法も事なるため比べるのは無駄だと言っています。

 著者は他人の投資方針に惑わされないためにも自分の投資方針を紙に書くべきだと言っています。

第17章 悲観主義の誘惑

 この章では楽観主義より悲観主義のほうが人々に好まれるとしています。確かに私もその考えには共感するところがあります。

 楽観主義を唱えれば、安易な考えや何も考えてないと思われるような気がするが、悲観主義は知的な感じがします。「世界の終末」なんてみんな大好きですよね。

 では何故悲観主義が好まれるのか?という疑問に対しての回答として、一つは人間の防衛本能によるものとしている。たしかに近代国家の現代ならともかく、原始時代に楽観主義ではすぐに死んでしまうでしょう。
 もう一つは、お金の問題=経済の問題は多くの人に影響を与えるためとしている。不景気になり株価が下がれば株主だけではなく、株を所有していない人にまで影響してくきます。

 世界経済は常に成長していることを考えれば楽観主義は間違いないとも言えますが、悲観主義でいれば僅かなことでも素晴らしいと思えることからも悲観主義は人々に好まれるのも理由の一つなのではと著者はまとめています。

第18章 何でも信じてしまうとき

 本書では、こうなって欲しいという願望を真実だと思い込むことを「魅力的なフィクション」と呼んでいる。人は未来を予測したがるが、実際は未来を予測することはとても難しいものであるし、たとえ予測したとしても「魅力的なフィクション」である可能性がある。

第19章 お金の心理

 この章では今までの教訓をまとめている。

・物事がうまくいっているときには慎重に、うまくいかない時には寛容に

サイコロジー・オブ・マネーp.298

 世界はの出来事は複雑に絡み合っているものであって、個人の才能や努力だけではどうしようもないなく運の要素に左右されることも多い。ゆえに、うまくいっているからと言って自分の力を過信せず、逆にうまくいかなかったからといって悲観することもないということです。

・エゴを減らせば、豊かになれる

サイコロジー・オブ・マネーp.298

 浪費をしててはお金は貯まらない。

・「夜、安心して眠れること」を優先してお金の管理をすべし

サイコロジー・オブ・マネーp.299

 投資にリスクを取りすぎない。

・投資で結果を出すための最大の秘訣は、時間軸を長くすること

サイコロジー・オブ・マネーp.299

 投資は長期投資をすること。

・うまくいかないことがあっても問題ないと考える。半分は間違っていても、資産は増やせる。

サイコロジー・オブ・マネーp.300

 個別で間違っていても全体でプラスになるように考える。おそらく個別株投資のようなイメージ。

・自分の時間をコントロールするためにお金を貯め、使う

サイコロジー・オブ・マネーp.300

 自由な時間こそ最高の幸福につながることから。

・他人に富を見せびらかさず、誠実に人と接しよう

サイコロジー・オブ・マネーp.301

 見栄をはってはお金は貯まらない。

・貯金をする。ただ貯金する。貯めるのに特別な理由は必要ない

サイコロジー・オブ・マネーp.301

 人生は予測の出来ないことばかりなのだから、不測の事態に備えて貯金をすべし。

・成功のために必要な代償を見極め、それを支払う準備をする

サイコロジー・オブ・マネーp.302

 成功するためには何度も失敗するのがつきもので、失敗は罰金ではなく成功のための手数料と思おう。

・「誤りの余地」を何よりも大切にする

サイコロジー・オブ・マネーp.302

 不測の事態を想定する。

・極端な経済的判断は避ける

サイコロジー・オブ・マネーp.303

 将来考え方が変わる可能性があるため、あまり極端な経済的判断は避ける。全額定期にするとか、投資するとかかな。

・リスクを好きになること。リスクは、時間の経過とともに利益を生む

サイコロジー・オブ・マネーp.3030

 リスクをとらなければ、リターンも得られない。

・自分がしているゲームを明確にする

サイコロジー・オブ・マネーp.303

 自分とは目標が違う人と比較しない、影響されない。

第20章 告白

 この章では著者の「投資」に対する考え方が書かれています。それは、高い貯蓄率、忍耐力、「世界経済は今後数十年にわたって成長を続ける」という楽観主義の3つ。

まとめ

 はじめて章毎にまとめてみました。それぞれに自分の解釈をつけてみましたがどうだったでしょうか?


 今までも金融関係の図書は何冊か読んできているのですが、個人の感想としては特に目新しい発見はなかったですが、資産形成するうえで基本的な事は網羅されていたのかなと思います。
 

そもそも資産形成自体、奇をてらうものでもないですし名著といって差し支えないと思います。

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