謎解きはディナーのあとで

小説

 今更説明不要なほどドラマにもなった有名なミステリー小説。短時間でサラッと読める!隙間時間に最適な1冊になっています。

作品概要

 大まかな分類としては総ページ数255に対して1話完結の話を6話分収録している短編ミステリー小説となります。テレビドラマにもなっているので一見軟派なイメージがありますが、実際はゴリゴリのミステリー小説。当然文字数の関係はあるかとは思いますが、基本的には犯人や被害者の心情や葛藤は最低限の描写しかなく、探偵役の推理が述べられた時点で物語は終了し、その後は犯人の自供等の答え合わせはなく後日談等が語られることはありません。

 国立市をメインの舞台とし、ストーリーの流れとしては主人公で刑事でもある宝生麗子が事件を捜査し、その結果を執事の影山に説明し影山の推理を聞いて終了となります。
 刑事の秘匿義務ってないの?とか執事の推理がはずれてる可能性もあるよね?とか思うところはありますが、それはそれでエンターテイメントとして楽しめればいいかなと思います。
 作者が国立市に特別な思い入れがあると思われ、ところどころにご当地ネタが出てきます。私は何のことやらほぼほぼわかりませんでした。

登場人物紹介

【宝生麗子】いわゆるワトソン役であり主人公。国立署に勤務する若き(おそらく20代)女性刑事。勤務中は平凡な刑事を装っているが、実際は複合起業『宝生グループ』総裁の一人娘で生粋のお嬢様であす。
 資産家の娘ということもあり金銭的なことに関しては常識外れなところもあるが、その他に関しては至って常識人であり何かと非常識が目立つ上司の風祭につっこむことが多い。お嬢様ということをひけらかすことはせず、現場にはこっそりリムジンでかけつけ、身に着ける高級スーツも目立たないようシックなものを着ている。
 容姿や知力に関してはあまり作中で描写はなく、第2話からは影山の影響で眼鏡をかけていることがわかるくらい。自分としてはなんとなくドラマで演じられていた北川景子さんのイメージしています。
 自己評価だが大学中は後輩の沢村有里よりモテていたらしい。風祭からは『お嬢さん』と呼ばれており、多少好意をよせられている描写もあり美人の部類と思われる。

【影山】若い男性で眼鏡をかけている。宝生家の執事兼運転手で脇役ながら探偵役。宝生家に努めてまだ日は浅く、第1話の時点でまだ1か月しか勤めていない。若いとは書かれているが博識なところから30代と思われる。もしかしたら作中に表記されていたかも。
 基本的には探偵役でありながら事件現場で情報収集することはなく、すべて宝生麗子からの情報のみで推理を行う。宝生麗子は影山の推理をかなり信頼しているようで推理をすべてきいたあとは疑う様子はなく全面的に信頼しているように書かれています。

 彼の推理が始まる前には必ずあるルーティーンがあります。それは宝生麗子を馬鹿にした発言をする、ということです。例えば第1話では『失礼ながらお嬢様-この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢さまはアホでいらっしゃいますか』と言うのです。このセリフのあとから影山の推理が始まります。逆に言えばこの発言は読者への発言でもありここまでですでに推理に必要な情報は出ましたよ、と言う作者からのメッセージでもあるのです。
 推理小説ではよくあるやり方なのかもしれませんが、私は漫画のQ.E.Dを思い出しましたね。漫画のQ.E.Dはミステリー漫画なのですが、作中でQ.E.Dの文字が出るとヒントはすべて出ましたよ、という合図であり次からは解決パートに移りますよ、という意味なのです。

 眼鏡の縁を指先で触るのが癖なのか作中でもよく眼鏡の縁を指先で触る描写が出てくる。第6話で金属バットでサーベル戦っている描写があり格闘技の経験者だと思われる。執事兼運転手になる前の夢はプロ野球選手かプロの探偵。

【風祭警部】第1話で32歳独身の男性。国立署の警部であり宝生麗子上司。中堅自動車メーカー『風祭モータース』の御曹司。絵にかいたような成金風に書かれており高級スーツや腕時計をし、現場には銀色のジャガーでかけつけます。宝生麗子の上司ということもあり宝生麗子と一緒に行動することも多く出番も多いのですが、基本は宝生麗子より頭の回転は遅く、彼の推理や言動はいつも宝生麗子が先に思いついたことばかりです。
 若くして警部になったので優秀なはずですが、作中ではその優秀さをほとんどいかせず、終始おとぼけキャラです。

どんな人におすすめか

 当然ミステーリー好きな人なんですが、1話1話が短いので隙間時間にちょうどいいと思います。感情描写が少なめなので気軽に読めるのもいいですね。重い話だと読み終わった後に疲れちゃうときもありますので。

まとめ

 短い時間でサラッと読める!そんなミステリー小説だと思います。続編も出ているようなので、ぜひ続編も読んでみたいと思えるほどおすすめの1冊でした。

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